大学の英語授業で、学生の発音をAIで評価する試みを続けています。使っているのはMicrosoftのAzure Speech Services。その実体験を正直に書きます。
なぜAIで発音評価をしようと思ったか
理由は単純。人間の耳には限界があるからです。
30人のクラスで、全員の発音を一人ひとり聞いて評価する。これを毎週やるのは物理的に無理。かといって、発音を無視するわけにもいかない。音声は語学の根幹です。
AIなら、提出された音声ファイルを一括で評価できる。しかも、人間の気分や疲労に左右されない一貫した基準で。
できること
- 発音の正確性スコア — 音素レベルでの評価(0-100点)
- 流暢性の評価 — 話すスピード、ポーズの適切さ
- 大量データの処理 — 100人分の音声も一晩で評価完了
- 経時変化の追跡 — 同じ学生の4月と12月のスコアを比較
できないこと
ここからが正直な話。
- 「なぜその点数か」を説明できない — ブラックボックス問題。65点と出ても、どこをどう直せばいいのか具体的にはわからない
- コミュニケーション能力は測れない — 発音が完璧でも、会話が成立しない人はいる
- 学習者の努力を反映しにくい — 先月より確実に上達していても、スコアに反映されないことがある
- 方言やアクセントの多様性 — 「標準的」な発音以外は低く評価される傾向
現時点での使い方
AIの評価を「参考情報の一つ」として使い、最終的な判断は人間が行う。これが今のスタンスです。
AIスコアが低い学生がいたら、実際に音声を聞いて確認する。逆にスコアが高くても、コミュニケーション面で課題がないか教室で観察する。AIと人間の二段構えです。
完璧な仕組みではないけど、「先生の耳だけに頼る」よりは客観的なデータが加わった分、フェアだと思っています。この取り組みは、引き続き改善しながら続けていきます。