「英語の発音を直したい。でもどのアプリを使えばいいかわからない」。
そういう声をよく聞きます。大学で10年ほど英語を教えてきて、発音指導の場面ではいつもこの問題にぶつかります。教室では一人ひとりの発音を丁寧に聞く時間がない。かといって「家で練習してきて」と言っても、何で練習すればいいかがわからない。
最近はAIで発音を評価してくれるアプリが増えました。でも実際にいくつか使い比べてみると、それぞれかなり性格が違う。全部いいわけじゃないし、全部ダメでもない。用途次第です。ここでは、実際に自分で試したものを中心に比較してみます。
ELSA Speak — 発音矯正の定番
AI発音矯正アプリで一番知名度があるのはELSA Speakでしょう。ベトナム発のアプリで、世界中に数千万人のユーザーがいます。
強み
- 音素レベルで発音を分析
- AIコーチが学習プランを自動作成
- コンテンツ量が豊富
- スマホアプリの操作性が良い
弱み
- 無料版はかなり制限あり
- 評価が厳しすぎることがある
- アメリカ英語が基準
総合力は高いです。「発音を本気で直したい」人の最初の選択肢としては手堅い。ただ、評価の厳しさに心が折れる人もいるので、そこは覚悟して。
Speechling — 人間のフィードバックが入る
SpeechlingはAIだけでなく、実際のネイティブスピーカーが録音を聞いて音声フィードバックを返してくれるサービスです。
強み
- 人間コーチのフィードバック(無料でも月10回)
- シャドーイング形式の練習がしやすい
- 対応言語が多い
弱み
- フィードバックまで時間がかかる
- 即時スコアリングがない
- UIが少し古い
AIの評価だけだと不安な人にはいい選択肢。人間が聞いてくれるという安心感は大きい。ただ即時性がないので、「今すぐ結果がほしい」人には向きません。
Google翻訳 / Siri — 無料で今すぐ使える
「わざわざアプリを入れるのは面倒」という人は、すでにスマホに入っているものから始める手もあります。
Google翻訳の音声入力は、自分の英語がGoogleに正しく認識されるかどうかで、ざっくりとした発音チェックになります。「water」と言ったのに「wader」と認識されたら、何かがずれている。Siriも同様。英語モードに設定して話しかけて、正しく聞き取ってもらえるか試す。
強み
- 無料。追加インストール不要
- 気軽にすぐ始められる
弱み
- 「どこが悪いか」は教えてくれない
- 文脈補正で通ることがある
- 学習用に設計されていない
入門段階ではアリ。でも「矯正」するには力不足。あくまでスクリーニング的な使い方です。
Duolingo — 発音機能はおまけ程度
語学アプリの王道Duolingoにも発音練習の機能があります。ゲーミフィケーションが強く続けやすいのは確か。ただ発音評価の精度は高くない。かなり雑に話しても「正解」になることがある。音素レベルの分析もない。
正直なところ、発音を本気で直したい人向けではないです。Duolingoの主戦場は語彙と文法。発音機能はあくまでおまけだと思ったほうがいい。
目的別の選び方
アプリ選びで一番大事なのは「何のために発音を直したいか」です。
🎓 試験対策
ELSA Speakが無難。音素レベルのスコアで弱点が数字で見える。
💬 日常会話
まずGoogle/Siriで通じるかチェック。通じないならELSAかSpeechlingで集中練習。
💼 仕事
イントネーションとリズムが大事。Speechlingのシャドーイング練習が向いている。
🆓 まず無料で
Google翻訳の音声入力 → ELSA Speak無料版、の順で。
余談:自分でも作ってみた
既存のアプリをいろいろ試した結果、教育現場で「こういうのがほしい」と思うものがなかったので、自分でも発音評価ツールを作ってみました。SpeakSmartというサービスです。
Azure Speech SDKとSpeechAceという2つのAIエンジンで発音を評価する仕組みで、発音以外にもリスニング・ライティング添削・語彙学習などを一通りまとめています。サーバー維持費やAI APIの利用コストがかかるので、フルで使う場合は有料(月480円〜)ですが、1日数回の無料枠もあるので、気になったら触ってみてください。