X(旧Twitter)を開けば「まだそんなプロンプト使ってるんですか?」、YouTubeを見れば「ChatGPTで月収100万円達成」、noteには「99%の人が知らないAI活用法」。
もうお腹いっぱいですよね。
大学で英語を教えながら、研究にも開発にも日常的にAIを使っています。ChatGPTもClaudeもGeminiも毎日触っています。だからこそ断言しますが、SNSに流れてくるAI情報の大半は、読む必要がありません。
煽っているだけ。売りたいだけ。そしてその投稿自体がAIに書かせたもの。そういうコンテンツが、今ものすごい勢いで増えています。
この記事では、今のAI情報空間で何が起きているのかを整理します。「何を無視していいか」がわかると、だいぶ楽になると思います。
「AIで月収100万」系 — 典型的な詐欺パターン
まず一番わかりやすいのがこれです。
「ChatGPTで副業して月収100万」「AIコピーライティングで自動収益」みたいなやつ。SNS広告やYouTubeのサムネイルでよく見かけますよね。余談ですが、月収100万円 X 12ヶ月 1200万円で、すごいなと金額だけ見れば思うかもしれませんが、現実を考えましょう。そこから税金やら社会保障らが引かれるといくらになるか。大体900万円。900万円っていう年収が得られる人って一応、日本には10%だったかな?いるみたいですよ。それだったら、それこそそういう年収を出してくれる大企業様に雇用されるように頑張った方がまだ社会的信頼が得られるし、そもそも…詐欺的なものまでなんかちまちました金額しか提示しないのだなと思います(もちろん日本人の平均給与や中央値は下がってる事実があるので、そこと比較すると月収100万はすごいかもしれませんけど)詐欺で出てくる数字まで夢がない国日本…騙すほうも大変だ。さて話しを元に戻しましょう。
構造はシンプルです。
- 「AIで簡単に稼げる」と煽る
- 無料のLINEグループやメルマガに誘導する
- 数日間「無料で価値ある情報」を流して信頼感を作る
- 高額の講座・コンサル・ツールを売る(数万〜数十万円)
これ、AI以前から情報商材の世界で何十年も繰り返されてきた手口です。「ブログで月収100万」「転売で月収100万」「FXで月収100万」。主語が「AI」に変わっただけ。
実際にAIで収益を得ている人はいます。でもそれは、AIの前から何かしらのスキルや事業基盤を持っていた人がAIを「道具として」組み込んだケースがほとんどです。「AIを使えば誰でも」という話ではありません。
見分け方はシンプルです。「具体的に何をしてどう稼いだのか」が書かれていなければ、それは広告です。
AI情報商材の実態 — 中身はネットで拾える情報の寄せ集め
「有料で公開します」「今だけ特別価格」——AIの使い方をまとめた有料コンテンツ、最近すごく増えました。
正直に言うと、いくつか買って中身を見たことがあります。
結論から言うと、ほとんどの場合、公式ドキュメントやOpenAIのブログ、あるいは英語圏の無料記事に書いてある内容の日本語訳です。しかもその「まとめ」自体をAIに書かせている。
よくあるパターンとしては:
- ChatGPTの「プロンプトテンプレート100選」→ 公式のプロンプトガイドの焼き直し
- 「AIで業務効率化する方法」→ 一般的なTips記事の寄せ集め
- 「秘密のプロンプト」→ 英語圏のRedditやGitHubで無料公開されているもの
もちろん、情報を整理して日本語でわかりやすくまとめること自体に価値がないとは言いません。でも「秘密の」「特別な」「ここでしか手に入らない」という煽りが入った瞬間、それは情報ではなくマーケティングです。
AIの使い方は、使いながら覚えるのが一番早いです。高いお金を払って「正解」を買おうとする必要はありません。
「あなたの使い方は間違っている」系アカウントの正体
個人的に一番気になっているのがこれです。
Xやnoteに大量にいますよね。「まだそのプロンプト使ってるの?」「ChatGPTの使い方、99%の人が間違えてます」「Claudeを使いこなせてない人の特徴5選」。
このタイプのアカウントには、かなり共通した特徴があります。
- 投稿の文体が全部同じ — 「〜なんですよね」「ぶっちゃけ」「これマジで」みたいなフレーズを定型的に使い回している。AIに「SNSでバズる口調で」と指示した結果がそのまま出ている
- 量が異常に多い — 毎日5〜10投稿。人間が毎日そのペースで「AIの深い知見」を出し続けるのは物理的に難しい
- 具体的な経験がない — 「AIを業務に導入して」「実際に使ってみた」と言うけど、何の業務で、何がどう変わったのかが一切書かれていない
- 肩書きが曖昧 — 「AI活用コンサルタント」「プロンプトエンジニア」「AI時代の働き方研究家」。具体的な所属や実績は出てこない
- 最終的に何かを売っている — 有料note、メルマガ、コンサル、講座。これがゴール
構造的に皮肉な話なんですが、「あなたのAIの使い方は間違ってる」と指摘しているその投稿自体が、AIに書かせたものだったりします。
AIを使うこと自体は全然悪くないです。このサイトの記事を書くときにもAIの力を借りています。問題は、「自分の経験や知見があるように見せかけて、実はAIの出力をそのまま流しているだけ」というケースです。AIに生成させた「もっともらしい意見」を、さも自分の発見のように発信する。これは情報発信ではなく、ただのコンテンツ工場です。
見分け方のコツとしては、「この人はAI以外の専門性を持っているか?」を考えるといいです。教育、エンジニアリング、デザイン、医療、法律——何でもいいですが、AIの話しかしていない人の「AI活用術」は、たいてい薄いです。道具の使い方は、その道具で何を作るかによって決まるので。
AIに関する誤情報と誇大宣伝
最後に、悪意はなくても結果的に誤解を広めているケースについて。
よくあるのは:
- 「AGI(汎用人工知能)はもうすぐ来る」 — AI企業のCEOが言うのはポジショントーク。実際の研究者の見解はもっと慎重です
- 「AIが仕事を全部奪う」 — 部分的な自動化は進みますが、「全部」は言い過ぎです。過去の技術革命でも同じことが言われ、実際はそうならなかった
- 「このAIは〇〇ができる!」 — デモ動画を見て「すごい!」と拡散。でもデモは最もうまくいったケースを見せているだけで、実際の精度や信頼性は別の話です
- 「AIは嘘をつく/つかない」 — AIは「嘘をつく」のではなく、確率的に文章を生成しているだけ。意図や悪意はありません。逆に「嘘をつかない」と信じるのも危険。事実確認は常に必要です
こういう誇大宣伝が広まる背景には、AI企業の資金調達競争があります。「すごいこと」を言わないと投資が集まらない。メディアも「AIがすごい」「AIが怖い」のどちらかに振れたほうがPVが取れる。冷静な「まあまあ便利ですよ」という話は記事にならないんですね。
だから、AIに関するニュースを見たときは「これは誰が、何のために言っているのか」を一瞬だけ考えるといいです。
じゃあ何を信じればいいのか
「全部疑え」とは言いません。信頼できる情報源は存在します。
- 公式ドキュメント — OpenAI、Anthropic、Googleなど。英語ですが、最も正確です
- 実際に手を動かしている人の発信 — 具体的な成果物やコード、実験結果を見せている人。抽象的な「Tips」ではなく、実際の過程を見せている人
- 学術論文やリサーチ — arXivやGoogle Scholarで原文にあたる。難しければ、論文の内容を「解説している」ページを読む
- 自分の手で試す — 結局これが一番です。ChatGPTもClaudeも無料プランがあります。人の感想を読むより、自分で使ったほうが100倍わかる
信頼できる情報源の具体的なリストは別の記事で詳しくまとめていますので、気になる方はそちらもどうぞ。
まとめ — ノイズを減らすと、本当に必要なものが見える
AIは便利な道具です。毎日の仕事でAIなしの状態にはもう戻れません。
でも、その道具の周りに「楽して稼げます」「あなたは間違ってます」「世界が変わります」というノイズが溢れすぎている。それが2026年のAI情報空間の現実です。
大事なのは、振り回されないことです。
新しいAIツールが出たからって、全部追いかける必要はありません。「99%の人が知らない裏技」なんて、知らなくても困りません。自分の仕事や生活の中で、AIが役に立つ場面があれば使う。それだけで十分です。
このサイトでは、煽りではなく実際に使ってみた経験をベースに、AIと語学学習に関する情報を発信しています。派手なことは言えませんが、少なくとも嘘は書かないようにしています。
]]>